コラム

野菜の価格高騰と購買行動 株式会社ショッパーインサイト 主任コンサルタント 矢野尚幸

野菜の価格高騰と購買行動 株式会社ショッパーインサイト 主任コンサルタント 矢野尚幸

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 野菜の価格高騰が続いています。10月頃より高騰がニュースになっていましたが※1、11月28日週の農林水産省における食品価格動向調査でも、軒並み平年より高い状況が続いています(図表1)※2。このような野菜の価格高騰が続くことで影響を受ける消費者の購買行動に関して、rsSMデータを用いて確認します。

図表12016年11月28日週【11月28日~30日】の食品価格動向調査(野菜)

(単位:円/㎏)

 まず、rsSMデータを用いて、10月から12月における白菜の週別平均価格を集計し、前年と比較しました(図表2)。するとやはり10月以降、前年に比べて高い状況が続いています。価格そのものは徐々に低下していますが、それでも前年に比べて140%近く高くなっています。

図表2白菜の週別平均価格(税込)

 このように白菜の価格が高いと影響を受けそうなのが鍋関連の商材です。そこで、10月から12月における鍋つゆカテゴリーの週別販売点数を集計し、前年と比較しました(図表3)。すると、鍋つゆカテゴリーの週別販売点数PIはほぼ前年並みであることがわかりました。気温の高低など様々な要因が影響するため、野菜の価格が高騰しても、必ずしも買い控えになるとは限らないようです(ただし、ここ2~3年は1人用鍋つゆの販売が好調だったため、前年並みにとどまったという考え方もできます)。

図表3鍋つゆカテゴリーの週別販売点数PI

 しかし、一緒に購買するカテゴリーには変化が生じるようです。白菜鍋用鍋つゆ※3を購買した際に、同時に購買したカテゴリーを集計し、前年同期と比較しました。図表4は前年に比べて一緒に購買される割合が高まった生鮮カテゴリー、図表5は前年に比べて一緒に購買される割合が低下した生鮮カテゴリーを表しています。

図表4白菜用鍋つゆ同時併買分析(一緒に購買される割合が高まった生鮮カテゴリー)

※2015年:2015年10月5日(月)~12月13日(日)、2016年:10月3日(月)~12月11日(日)

図表5白菜用鍋つゆ同時併買分析(一緒に購買される割合が低下した生鮮カテゴリー)

※2015年:2015年10月5日(月)~12月13日(日)、2016年:10月3日(月)~12月11日(日)

 分析結果から、以下のことがわかりました。

  1. 前年同期に比べて、白菜、もやし、ニラのバスケット併買率が増加し、地場野菜、長葱・白葱の併買率が低下した。
  2. えのきのバスケット併買率が増加し、しめじ、生椎茸の併買率が低下した。
  3. 国産豚、国産鶏の併買率が増加し、銘柄豚、銘柄鶏の併買率が低下した。

 推測の域を出ませんが、上記の結果から以下のような購買行動の変化が考えられます。

  1. 白菜の価格が例年よりも高いため、せっかく白菜を買うなら白菜に合った鍋つゆを購買したいと考えたことから、白菜鍋用鍋つゆと白菜のバスケット併買率が高まった。
  2. 例年よりも葉物野菜が高いため、もやしで「かさ増し」を図った。
  3. 葉物野菜が例年より高い分、生椎茸・しめじより割安なえのき、銘柄豚・銘柄鶏より割安な国産豚・国産鶏に変更することで、全体の購買金額は大きく変わらないように努力した。

 農産の価格高低は定期的に起こりうることから、価格が高騰(または低下)した際に、自社商品はどのような影響を受けるのか、定期的に確認しておく必要があるでしょう。

  • ※1 日本経済新聞2016年10月18日など
  • ※2 農林水産省食品価格動向調査
  • ※3 商品名に「白菜」と明記された鍋つゆを分析対象。主な商品は、「モランボン菜の匠白菜鍋用スープ750g」「くばらはくさいのうま鍋あごだし醤油味800g」「日本食研白菜塩とんこつ鍋スープ720g」「ダイショー野菜を食べる鍋白菜鍋スープ750g」。

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