コラム

グルテンフリー商品の販売動向 株式会社ショッパーインサイト 主任コンサルタント 矢野尚幸

グルテンフリー商品の販売動向 株式会社ショッパーインサイト 主任コンサルタント 矢野尚幸

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 近年、小麦に含まれるタンパク質の一種「グルテン」をほとんど含まない「グルテンフリー食品」への関心が日本でも高まりつつあります。グルテンフリー食品は、もともとはグルテンにより腸がダメージを受け、栄養が吸収できなくなる自己免疫疾患「セリアック病」の患者の食事療法で使われてきましたが、米国で「腸に負担をかけない健康な食事」として注目され始めました※1。Mintelの調査によると、グルテンフリー食品は2015年時点で推定115億ドルの売上(2013年比136%増)となっており※2、その後も成長していると見られます。
 このような状況の中、日本の食品SMではどのような状況になっているでしょうか。今回はグルテンフリーを訴求したパスタの販売状況に関して、rsSMデータを用いて分析します。

 グルテンフリーを訴求した主な乾燥パスタは図表1のとおりです。これらを「グルテンフリーパスタ」として分析を行いました。

図表1グルテンフリーの主な乾燥パスタ

 最初にグルテンフリーパスタの過去2年月別金額PIの推移を集計しました(図表2)。すると、右肩上がりで金額PIが増加していることがわかります。乾燥パスタ全体に占める割合ではわずかですが、確実に需要が高まっていることがわかります。

図表2グルテンフリーパスタの月別販売動向

 次に、どの性年代に購入されているのかを見るため、期間中(2016年4月~2017年3月)来店者のうち購入した人の割合(出現率)を性年齢別に集計し、前年同期と比較しました(図表3)。すると、どの世代の前年同期に比べて出現率が高まっていますが、特に20代~40代の出現率が高まっています。より若年層に購入されていることがわかります。

図表3グルテンフリーパスタ性年齢別出現率

 それでは、グルテンフリーパスタ購入者は何と一緒に購入しているのでしょうか。違いを明らかにするため、グルテンフリーパスタ、乾燥パスタ全体のバスケット併買を行い、信頼度(同時併買率)に差が出たカテゴリーを抜粋しました(図表4)。

図表4パスタのバスケット併買分析(2017年1月~3月)

 すると、グルテンフリーパスタ購入者は、乾燥パスタ全体よりもいちご、アボカドといった農産を一緒に購買する傾向が見られます。畜産では、銘柄鶏切身や特殊鶏卵といった単価の高いカテゴリーを一緒に購買します。食品ではナチュラルチーズやナッツ類を一緒に購買し、食パン等は避ける傾向にあります。嗜好食品では豆乳の同時併買率が高いです。

 グルテンフリー購入者は食パンをそれほど一緒に購入しない傾向が見られましたが、購入する場合どのような商品を好んで購入するのでしょうか。今回は期間併買分析を用いて、2016年10月~2017年3月に何らかのグルテンフリーパスタを購入した人が、同時ではなくても期間中に購入した食パン、ロールパンを集計し、通常の購入割合よりも高い商品を抜粋しました(図表5)。

図表5グルテンフリーパスタ購入者の食パン・ロールパンカテゴリー期間併買分析(2016年10月~2017年3月)

※期間併買率3.0%以上かつリフト値の高い商品を抜粋(PBを除く)

 たとえば、マイセン玄米丸パンは期間中に来店した100名の購入率は0.1%ですが、グルテンフリーパスタを購入した人100名中では購入率が3.1%となります。このように通常よりも購入率が高い商品が図表5であげられた商品になります。
 マイセン玄米丸パンのようにグルテンフリーのパンや、国産小麦を使ったパンなどを購入しているようです。

 今回はグルテンフリーを訴求したパスタを用いて動向を分析しましたが、米粉を使ったパンやビーフンなども需要が高まっていることが推測されます。まだまだ市場としては大きくありませんが、グルテンフリー関連商品購入者は、一緒に単価の高い商品を好んで購入することが想定されることから、食品SMにおいても注目すべきカテゴリーと言えそうです。

出所

  • ※1 産経新聞 2017年1月31日
  • ※2 HALF OF AMERICANS THINK GLUTEN-FREE DIETS ARE A FAD WHILE 25% EAT GLUTEN-FREE FOODS(Mintel 2015年12月4日)

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