コラム

エスニック加工調味料の市場動向 株式会社ショッパーインサイト 主任コンサルタント 矢野尚幸

エスニック加工調味料の市場動向 株式会社ショッパーインサイト 主任コンサルタント 矢野尚幸

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 以前本コラムでパクチーの市場を取り上げましたが、その時から2年近く経った現在でも、安定した人気を保っているようです。そのような状況もあり、エスニック料理をより手軽に楽しみたいという需要が増えていると考えられ、エスニック加工調味料の新商品も発売されています※1。そこで、エスニック加工調味料の市場はどのように成長しているのでしょうか。rsSMデータを用いて分析を行いました。

 エスニック調味料は多岐に渡ります。i-code分類においても、インド、メキシコ、韓国料理なども対象としております。そこで今回は、タイ、ベトナムなど東南アジアの料理に用いられることが多い加工調味料を対象にしました。また、タイカレーは「レトルトカレー」として分類し、それ以外を「東南アジア加工調味料」として今回は分類しました。主な商品は図表1のとおりです。PBは今回対象外としています。

図表1主な対象商品
図表1 主な対象商品

 まず、カテゴリー全体の年間販売金額PIを集計し、前年と比較しました(図表2)。すると、東南アジア加工調味料は前年に比べて約30%金額PIが増加しました。一方、カレーに関しては若干減少しました。
 東南アジア加工調味料の中でも、発売されている商品が多い「ガパオ」や、「S&B菜館Asiaガイヤーンの素50g」「ヤマモリガイヤーンの素100g」が発売された「ガイヤーン」が好調でした(図表3)。

図表2販売金額PI(カテゴリー全体)
図表2 販売金額PI(カテゴリー全体)
図表3販売金額PI(加工調味料サブカテゴリー別)
図表3 販売金額(加工調味料サブカテゴリー別)

 次に、カレー、東南アジア加工調味料の間口(購入率)と奥行(購入者1人当たりの購入金額)を集計し、前年と比較しました(図表4)。
 すると、カレーは購入率が前年よりも減少したものの、1人当たりの購入金額は前年よりも増加しました。つまり、比較的ライトユーザーが購入しなくなりましたが、リピーターは定着していることが推測されます。
 一方、東南アジア加工調味料は、購入率は増加しましたが、1人当たりの購入金額が減少しました。トライアル者が増えたため、1人当たりの金額が減少してしまうのは仕方のない面もありますが、いかに引き続き購入してもらうかが重要だと言えます。

図表4間口奥行分析(4月~3月)
図表4 間口奥行分析(4月〜3月)

 それでは、各東南アジア加工調味料は、どのような年代の方に購入されているのでしょうか。また、平日、土日祝日ではいつ購入されることが多いのでしょうか。代表的な各商品※2の年代別点数構成比(今回は女性のみ)と、平日土日祝日構成比(女性のみ)を集計しました(図表5、図表6)。
 女性の年齢別点数構成比では、どの商品も若年女性の構成比が高いです。特にガパオ、パクチーソース、ヤムウンセンのたれは、女性30代以下で全体の約20%以上を占めています。全食品(生鮮、惣菜など食品SM全体の点数構成比)では10%程度ですから、若年層の割合は高いことがわかります。

図表5性年齢別点数構成比(2017年4月~2018年3月)
図表5 性年齢別点数構成比(2017年4月〜2018年3月)

 女性の土日祝日構成比では、どの商品も土日祝日構成比が30%を超えました。特にタイ風春雨サラダやトムヤムクンの素は40%近くの構成比となりました。

図表6土日祝日点数構成比(2017年4月~2018年3月)
図表6 土日祝日点数構成比(2017年4月〜2018年3月)

 それでは、上記のような若年女性の構成比や土日祝日構成比は、他の加工調味料と比べて高い割合なのでしょうか、低い割合なのでしょうか。そこで、エスニック加工調味料のほか、和洋中の主要加工調味料でも同様の分析を行い、縦軸に女性全体に占める30代以下の点数構成比と、土日祝日の点数構成比によりプロットしたものが図表7になります※2
 赤でマークしたものが東南アジア加工調味料になりますが、多くの商品は他の加工調味料に比べて女性30代以下、土日祝日の構成比は高いことがわかります。いわば、若年女性のハレの日に比較的購入される傾向にあると言えるでしょう。また、若年女性の普段使いでは甘口麻婆豆腐やマカロニグラタンなど小さな子ども向けの商品が多く購入されていました。

図表7女性30代以下点数構成比×土日祝日構成比(2017年4月~2018年3月)
図表7 女性30代以下点数構成比×土日祝日構成比(2017年4月〜2018年3月)

 好調な動向が続く東南アジア加工調味料ですが、若年層にハレの日消費として購入される傾向が見られる一方、若年層の普段使いや中高年層のハレの日に適した商品があまり見られないことが課題としてあげられます。たとえば辛さを抑えた商品により、小さな子どもがいる家庭にも受け入れられる商品の投入を行うなど、新たな需要の獲得が期待されます。 

  • ※1 たとえば、ハウス食品株式会社より2018年2月に「エスニックガーデン」シリーズが発売されました
  • ※2 本分析では具体的な商品名はマスクしております。具体的な商品名をご希望の方はお問い合わせください

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