コラム

伸長するサバ缶の販売動向 株式会社ショッパーインサイト 主任コンサルタント 矢野尚幸

伸長するサバ缶の販売動向 株式会社ショッパーインサイト 主任コンサルタント 矢野尚幸

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 近年サバ缶を用いたレシピがテレビや雑誌で取り上げられる機会が増えています。そのため、サバ缶の売れ行きが好調に推移しています。しかし、原料高が影響し、サバ缶の販売価格を9月より見直す動きも見られます※1。そこで、9月以降の販売動向に変化はあったのか、また、これまでどのような人がサバ缶を多く購入するようになったのか、さらにはどのような使い方をしているのか、rsSMデータを用いて分析を行いました。

 サバ缶には醬油、味噌などの種類がありますが、今回は水煮に限定して分析を行いました。今回分析対象としたサバ水煮缶は、図表1のとおりです。

図表1主なサバ水煮缶
図表1 主なサバ水煮缶

 最初に主なサバ水煮缶の販売価格推移を月次で集計しました(図表2)。すると、2016年時点では税込120円弱で販売されていた商品は、徐々に価格が高まっていることがわかります。2018年9月にも、一部の商品で前月よりも販売価格が高まりました。

図表2主なサバ水煮缶の販売価格(税込)
図表2 主なサバ水煮缶の販売価格(税込)

 次にサバ水煮缶全体の販売点数を前年同月と比較しました(図表3)。すると、比較的買い求めやすい商品の価格が高まっているのにも関わらず、多くの月で前年同月を上回りました。2018年9月もほぼ前年並みを維持しており、現時点では価格高騰の影響はあまり受けていないようです。

図表3サバ水煮缶月別販売点数PI
図表3 サバ水煮缶月別販売点数PI

 さらに、どの世代の販売点数が高まっているかをみるため、月別の販売点数PIを女性の年代別(30-40代、50-60代、70-80代)別に集計しました(図表4)。どの世代も販売点数PIが増加傾向にありますが、特に女性70-80代の増加幅が大きいです。

図表4サバ水煮缶月別販売点数PI(女性年代別)
図表4 サバ水煮缶月別販売点数PI(女性年代別)

 また、間口奥行分析※2を行い、2017年4-9月と2018年4-9月を比較しました。すると、単に販売点数が増えているだけではなく、期間中購入者1人当たりの購入点数も増えています(図表5)。目新しさにより、一時的に購買者が増えただけではなく、着実にリピートする層が増加、定着していることがうかがえます。

図表5サバ水煮缶間口奥行分析(2017年4-9月、2018年4-9月)
図表5 サバ水煮缶間口奥行分析(2017年4-9月、2018年4-9月)

 それでは、サバ水煮缶購入者はどのようなものを同時に購買しているのでしょうか。今回は購入率、1人当たり購入点数の増加幅が大きい、女性70₋80代に限定してバスケット併買分析を行いました。調味料ではカレーレトルトやカレールーなどとの併買率が高いです。また、農産では豆類水煮、舞茸などとの併買率が高いです。

図表6サバ水煮缶バスケット併買分析(2018年9月:女性70₋80代)
図表6 サバ水煮缶バスケット併買分析(2018年9月:女性70₋80代)

 2年前と比べて併買率が高まった主なカテゴリーは図表6のとおりです。2年前に比べると舞茸や納豆、袋麺などとの併買率が高まりました。これらは、炊き込みご飯や納豆を使ったレシピなどで取り上げられており、それに基づいて調理していることがうかがえます。

図表7サバ水煮缶バスケット併買分析(2016年9月と2018年9月の比較:女性70₋80代)
図表7 サバ水煮缶バスケット併買分析(2016年9月と2018年9月の比較:女性70₋80代)

 テレビ等で取り上げられる商品は、一時的に販売が増加するものの、一定期間経つと以前に戻る傾向にあります。しかし、サバ水煮缶に関しては、購入者が増加しているだけではなく、繰り返し購入する点数も増加していることから、今後も堅調な推移が見込まれます。レシピに基づいて購入する動きも見られることから、関連するカテゴリーを店頭で訴求するとより多くの購買が期待されます。

  • ※1 マルハニチロ株式会社ニュースリリースなど
  • ※2 間口奥行分析の細かい内容に関しては、こちらをご覧ください

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