コラム

食品SMにおける天候不順時の購買行動 株式会社ショッパーインサイト 主任コンサルタント 矢野尚幸

食品SMにおける天候不順時の購買行動 株式会社ショッパーインサイト 主任コンサルタント 矢野尚幸

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 ここ数日、夏らしい気温になりつつありますが、2019年の6月下旬から7月中旬にかけて、例年よりも気温が低く、雨量の多い日が続きました。このような状況では、夏場に需要が高まるカテゴリーへの購買に影響を及ぼしたと考えられます。そこで、夏場に需要が高まるスポーツ飲料、乾燥冷麦・素麺、マルチパックアイスの動向に関してrsSMデータを用いて分析しました。

 まず、上記3カテゴリーの週別金額PIを集計し、前年同週と比較しました(図表1~3)。3カテゴリーともに6月17日週までは、前年並み、前年を上回る週が多いことがわかりました。一方、6月24日週以降は前年を下回る週が多く、特に7月15日週は3カテゴリーともに前年を大きく下回る金額PIとなりました(スポーツ飲料対前年比33.2%、乾燥冷麦・素麺57.3%、マルチパックアイス69.0%)。

図表1スポーツ飲料 週別金額PI
スポーツ飲料 週別金額PI

※2018年は対前年同週

図表2乾燥冷麦・素麺 週別金額PI
乾燥冷麦・素麺 週別金額PI

※2018年は対前年同週

図表3マルチパックアイス 週別金額PI
マルチパックアイス 週別金額PI

※2018年は対前年同週

 次に、上記3カテゴリーの周辺カテゴリーの動向も併せて、期間中の金額PIを前年と比較しました(図表4~6)。

図表4麺類カテゴリー金額PI
麺類カテゴリー金額PI

 主な麺類カテゴリーの動向を見ると、乾燥冷麦・素麺が大きく減少した一方、乾燥パスタ、生・ゆで焼きそばは前年を上回りました。

図表5飲料カテゴリー金額PI

 主な清涼飲料、乳系飲料カテゴリーの動向を見ると、スポーツ飲料をはじめ、ミネラルウォーター、。炭酸飲料等が大きく減少した一方、飲用酢や豆乳などは前年を上回りました。

図表6アイスクリーム、ゼリー・プリンカテゴリー金額PI
アイスクリーム、ゼリー・プリンカテゴリー金額PI

 主なアイスクリーム、ゼリー・プリンカテゴリーの動向を見ると、マルチパックアイスなどアイスクリームは軒並み前年を下回った一方、プリン、ゼリー・プリン他は前年を上回りました。

 このように、天候が不順になったことで、夏場に需要が伸びるカテゴリーの金額PIが減少した一方、周辺のカテゴリーは前年を上回る傾向が見られました。そこで、金額の流出入の状況を集計しました。
 下記の結果は、主要飲料カテゴリーの2018年7月1日~20日と2019年7月1日~20日におけるカテゴリー別流出入差(100人当たり)を集計したものです(図表7)。

図表7主要飲料カテゴリー流入出差(購入者100人あたり:金額)
主要飲料カテゴリー流入出差(購入者100人あたり:金額)

 スポーツ飲料は上記7カテゴリー全てに流出しました。特に、コーヒー飲料、茶系飲料、牛乳への流出金額が多くなりました。
 茶系飲料は、スポーツ飲料からは流入したものの、牛乳や飲用酢、豆乳へ流出しました。牛乳はスポーツ飲料などから流入したものの、飲用酢や豆乳へ流出しました。飲用酢や豆乳は、金額は大きくないものの、各カテゴリーから流入しました。

 飲用酢や豆乳が好調なのは季節需要だけが原因ではありませんが、天候不順が流入に拍車をかけたものと推測されます。8月以降、夏らしい気温になった際に、スポーツ飲料等が重要を回復できるのか注目されます。

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