コラム

消費税増税前後の購買行動 株式会社ショッパーインサイト 主任コンサルタント 矢野尚幸

消費税増税前後の購買行動 株式会社ショッパーインサイト 主任コンサルタント 矢野尚幸

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 2019年10月、消費税が8%から10%に増税されました。しかし、食品の多くは軽減税率が適用されるため、必ずしも食品スーパーには影響がないという考えもありました。そこで、rsSMデータを用いて増税前1週間、増税後1週間の動向を集計しました。

 まず、消費増税前1週間(2019年9月24日~9月30日)のカテゴリー別出現率(=期間中来店者のうち、当該カテゴリーを購買した人の割合)を集計し、前年同週(2018年9月25日~10月1日)と比較しました。
 図表1は前年同週に比べて出現率が高まったカテゴリー、図表2が低下したカテゴリーです。みりん※1や各種飲料、ビール類、アイスクリームなどの出現率が高まりました。
 一方、水物や即席麺の出現率は低下しました。即席麺などは、非日用品の駆け込み購買を行うついでにドラッグストア等で購買されたために低下したことが要因として考えられます。

図表1前年同週に比べて出現率が高まったカテゴリー
前年同週に比べて出現率が高まったカテゴリー
図表2前年同期に比べて出現率が低下したカテゴリー
前年同期に比べて出現率が低下したカテゴリー

 出現率が増加したカテゴリーに関しては、購買者1人当たりの購買金額も集計しました(図表3)。すると、どのカテゴリーも1人当たり購買金額が増加しました。特にビール、新ジャンルの増加幅が大きく、購買者が増えただけではなく、金額も増加しており、駆け込み需要が見られたと言えそうです。

図表3購買者1人当たり購買金額
購買者1人当たり購買金額

 それでは、増税前に出現率が高まったカテゴリーは、増税後ではどのような動きを示したでしょうか。増税後1週間の出現率と購買者1人当たりの購買金額を集計し、前年同週と比較しました(図表4、図表5)。
 出現率はあまり大きく変わらないカテゴリーが多い中、ビール、新ジャンルは低下しました。やはり前週の駆け込みの影響が見られたようです。一方、茶系飲料は引き続き高まりました。これは、前年に比べて気温の高い地域が多かったことが影響していると思われます。購買者1人当たりの購買金額においても、ビール、新ジャンルは前年同週を下回りました。 

図表4消費増税後1週間の出現率
消費増税後1週間の出現率
図表5消費増税後1週間の購買者1人当たり購買金額
消費増税後1週間の購買者1人当たり購買金額

 軽減税率が適用されないアルコールで一部駆け込みが見られたものの、2014年の増税時には見られた調味料を中心とした駆け込みはあまり見られませんでした※2(2014年4月増税時の動向はこちら)。しかし、食品以外の支出は増えることから、食品の買い控え/低単価商品へのスイッチが進む可能性があります。一方、外食を控えるようになり、食品スーパーの惣菜等の売上が増加する可能性もあります。株式会社ショッパーインサイトでは、今後も各カテゴリーの詳しい動向をご紹介いたします。

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