コラム

食品スーパーマーケットの中期的動向 株式会社ショッパーインサイト 主任コンサルタント 矢野尚幸

食品スーパーマーケットの中期的動向 株式会社ショッパーインサイト 主任コンサルタント 矢野尚幸

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 株式会社ショッパーインサイトでは、2013年の発足以来、食品スーパーマーケットにおける消費者の購買行動を集計しております。これまで直近の前年比を整理したレポートを発刊してきました※1が、弊社発足時と比べて動向に違いはみられるのでしょうか。今回のコラムでご紹介します。
 最初に、来店客1人当たりの月当たり平均購買金額を対前年月と比較し、時系列で示しました。尚、データは税抜です。

来店者1人当たり平均購買金額推移(対前年同月比)
来店者1人当たり平均購買金額推移(対前年同月比)

※税抜表示に変更したため、2018年12月のコラムと結果が異なります

 すると、消費増税前の2014年3月は対前年同月比+6.4%と大きく増加しましたが、増税後の4月は-5.4%と減少しました。
 2015年4月から5月にかけて前年の反動で大きく増加しますが、その後は前年並みで推移し、2017年下半期頃より前年を下回る月が増えています。食品SM以外での購買金額が増えたこと、購入者層の構成比異なりつつあることが要因として挙げられます。
 2019年9月には、消費増税の駆け込み需要が期待されましたが、食品の多くは軽減税率の対象だったため、前年比0.5%増にとどまりました※2

性年齢別全食品金額構成比(各年9月)
性年齢別全食品金額構成比(各年9月)

 次に、9月の性年齢別全食品金額構成比を2013年、2015年、2017年、2019年で集計し、比較しました。すると、徐々に男性全体と女性70代以上の構成比が拡大していることがわかります。女性60代は2017年までは拡大していたものの、2018年は縮小に転じました。これは、団塊の世代が2017年に70代となったことが理由として挙げられます。
 これまで女性の主要購入者層は40代、50代、60代でしたが、50代、60代、70代にシフトしているようです。また、男性も構成比を拡大していることから、食品スーパーにおいても男性ショッパーの購買行動把握が重要性を増しています。

 さらに、カテゴリー別の動向を整理しました。今回は、2015年、2017年、2019年の上半期における出現率(=期間中来店者のうち1度でも当該商品カテゴリーを購入した人の割合)し、出現率が減少傾向にある主なカテゴリー、逆に増加傾向にある主なカテゴリーを抜粋しました。参考までに購買者1人当たり期間中平均購買点数も集計しました。
 出現率が減少した主なカテゴリーとしては、トマト、キュウリなどの農産や、ウィンナー、ヨーグルト、牛乳、豆腐などでした。特に豆腐は、出現率だけではなく、1人当たりの購買点数も減少しています。

出現率が減少傾向にある主なカテゴリー
出現率が減少傾向にある主なカテゴリー

※出現率が高いカテゴリーのうち、減少傾向にあるカテゴリーを抜粋

 一方、増加した主なカテゴリーとしては、国産豚切り落とし等の国産の畜産、フライ惣菜、チューハイ・カクテルなどが挙げられます。茶系飲料、コーヒー飲料、チューハイ・カクテルなど飲料は、1人当たりの購買点数も増えており、食品SMにおける重要性を増しています。

出現率が増加傾向にある主なカテゴリー
出現率が増加傾向にある主なカテゴリー

※出現率が高いカテゴリーのうち、減少傾向にあるカテゴリーを抜粋

 尚、出現率はそこまで高くないものの、豆苗とズッキーニは、出現率が増加傾向にあります。全体的に減少傾向にある農産の中では堅調に推移しているカテゴリーであり、今後のさらなる需要増加が期待されます。

出現率が増加傾向にある主な野菜カテゴリー
出現率が増加傾向にある主な野菜カテゴリー

 人口減少、少子高齢化、ネットショッピング利用者の増加など、食品SMを取り巻く環境が変動しており、購買行動にも徐々に変化が見られています。昨年に比べても、高年代女性、男性顧客などの構成比が増加しており、それに伴い、強化すべきカテゴリーも変わってくると言えるでしょう。
 今後もショッパーインサイトでは定期的に来店者の購買動向を把握し、皆様に情報を提供してまいります。2019年のコラムは今回が最後です。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

  • ※1 食品スーパーマーケット業態 購買行動データ(月別購買行動編/性年代別購買行動編の詳しい概要はこちらをご覧ください
  • ※2 消費増税前後の動向は、こちらをご覧ください

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