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特別コラム:コロナ緊急事態宣言解除後の購買行動の予測(中国文献調査を基に)

特別コラム:コロナ緊急事態宣言解除後の購買行動の予測(中国文献調査を基に)

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 4⽉に新型コロナウイルス感染による緊急事態宣⾔が発令され、1か⽉強が経とうとしています。徐々に緊急事態宣⾔が解除され、5月25日にはすべての都道府県で宣言が解除されました。
 しかし、今後も長期的な影響が予想され、新しい生活様式が提唱されるなど、これまでとは異なった行動をとることが想定されます。また、自粛生活中に新たに得た生活様式をそのまま継続することも想定されます。
 今後日本の消費者はどのような購買行動をとるのでしょうか。その予想をするには、一足先に普段の行動をとりつつある中国での意識がベンチマークになるかもしれません。そこで、株式会社ショッパーインサイトでは、中国における購買行動の実態を調査予定ですが、その前に既に中国国内で実施された意識調査を整理し、現時点での中国消費者の購買意向をご紹介します。

1. 買物行動の変化・意向

 中国国内での新聞・各種調査を見ていくと、「報復型消費」という言葉がよく出てきます。これは、コロナウイルスの影響で、家から出られず、抑制された買物、外食、観光、映画などのレジャー消費が、コロナ流行後、爆発的に増えていくといった消費行動を意味するケースが多いようです注1。いわば、“リベンジ消費”ともいえるでしょう。
 江蘇省消費者保護委員会が、“リベンジ消費”に対する意向を調査したところ、どの世代も80%以上がその意向を持っていることがわかりました(図表1)。特に80年代生まれ、90年代生まれは90%を超えており、その意向が強いことがわかります※1

図表1リベンジ消費への意向割合
リベンジ消費への意向割合

 実際、浙江省の百貨店では、2月20日の営業を再開した際、わずか5時間の営業で、売上高1100万元を突破し、昨年同時期の終日の売上を上回ったという報道※2も見られました。
 ただし、本当に“リベンジ消費”が行われるかどうか、懐疑的な見方をしている調査もあります。第三只眼看零售が実施した消費者によると、89.3%の人は「リベンジ消費を行わない」と回答しており(図表2)、上記調査結果とは逆になりました。こちらの調査は、20代以下(主に1990年代生まれ以降)の回答割合が少ないことが影響しているかもしれません。また、所得が回復した後も一定期間消費支出を削減する意向が高く、全体の44.6%が7月に消費を完全に再開すると回答しました※3

図表2リベンジ消費を行うか
リベンジ消費を行うか

 また、収入が高い人ほど“リベンジ消費”への意向が強いという調査結果※4もあるなど、世代や年収、居住地域などでその意識には大きな違いがあります。
 これらの結果から、“リベンジ消費”への需要高まりが期待されるものの、多くの消費者が実際に行動に移すにはしばらく時間がかかるものと思われます。また、リベンジしたい商品・サービスにも各調査で大きな違いが見られることから、今後の調査課題になりそうです。

2. 食品スーパーの利用意向の変化

 第三只眼看零售の調査では、コロナ流行後でも家で食事をする機会を(以前より)増やしますか?という問いに対して、83.0%は「増やす」と回答しました。これは、コロナ流行中に自宅で食事を作るようになった人が、今後もその機会を増やす意向があることを意味しています。

図表3コロナ流行後でも家で食事をする機会を増やしますか?
コロナ流行後でも家で食事をする機会を増やしますか?

 同じ調査結果で、コロナ流行後に最も行いたい消費が聞かれており、「外食」(34.5%)を挙げる人が多くなりました(図表4)。しかし、現時点ではほとんどの消費者はまだ外食には出かけておらず、7月から8月にかけて需要が戻ることが予測されています※3

図表4コロナ流行後最も行いたい消費領域
コロナ流行後最も行いたい消費領域

 コロナ流行前後の生鮮食品オンラインに対する消費者の態度も調査されています。全体の49.6%は「流行前から使用しており、今後も使用する」と回答し、28.0%は「以前に使用したことがなく、コロナ蔓延時に非常に役立ち、今後も使用し続ける」と回答しました(図表5)。この結果は、若年層ほど、北京など大都市の消費者ほどその傾向が高いです※3

図表5コロナ流⾏前後の⽣鮮⾷品オンラインに対する消費者の態度
コロナ流⾏前後の⽣鮮⾷品オンラインに対する消費者の態度

3. 観光・インバウンドへのニーズ

 21世紀経済報道らによるコロナ流行後の経済予測によると、コロナ流行後いつ国内旅行へ行きますか?という問いに対して、今すぐ行くと回答した割合は全体の7.3%でした。31.6%は2〜3か月以内の旅行を考えていません。26.3%は6か月以内の旅行を考えていません。14.4%は1年以内の旅行を考えていません※5。旅行需要への回復にはしばらく時間がかかるでしょう。

図表6コロナ流行後いつ国内旅行へ行きますか?
コロナ流行後いつ国内旅行へ行きますか?

 国内旅行への需要回復もしばらくかかることから、外国旅行への需要はさらに時間がかかるかもしれません。しかし、同じ調査で コロナが完全に終息した後、国内外でどの国・地域に一番行きたいかという問いに対して、日本を挙げる割合(20.8%)が最も高くなりました。

図表7コロナが完全に終息した後、 国内外でどの国・地域に一番行きたいか?
コロナが完全に終息した後、 国内外でどの国・地域に一番行きたいか?

 以上の調査結果を基に、日本での緊急事態宣言解除後の行動を予想すると、以下のことが考えられます。

  • ・“リベンジ消費”は若年層・高収入層を中心に期待される。ただし、実際に購買が進むにはしばらく時間がかかるものとみられる。
  • ・外食の需要回復にはもう少し時間がかかると思われ、自宅で食事を作るニーズが減らないことから、当面食品スーパーなどの需要は堅調である。また、中国同様オンラインのニーズが増加、定着する可能性がある。
  • ・国内旅行への需要は、少なくとも2~3か月経たないと回復しないと思われる。

 また、中国をはじめとしたインバウンドの需要回復にはさらに時間がかかると思われますが、中国では渡航先としては日本を挙げる割合が多いことから、需要回復時に向けた取り組みを想定しておくことが望まれます。

 株式会社ショッパーインサイトでは、これらの文献調査を基に、さらに深く掘り下げた調査を中国で実施、その結果をベンチマークとして日本での取り組むべき施策を提示したいと思います。
 また、地域別比較として、中国90年代生まれ(中国ではジューリンホウと呼ばれ、注目度の高い世代です)と、日本の90年代生まれ世代を比較することも検討しています。
 これらの各種調査にご興味のある方は、是非お問い合わせください。

注1:報復型消費の定義は、「コロナ感染拡大前は計画していなかったものを購買すること」とするものは一部見られるものの、明確には定まっていません。

出所

  • ※1 腾讯网 2020年4月2日
  • ※2 新浪财经 2020年3月2日
  • ※3 第三只眼看零售 2020年4月10日
  • ※4 华兴资本 2020年3月16日
  • ※5 21经济网 2020年3月26日

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