コラム

2020年の食品スーパーマーケットにおける購買動向

2020年の食品スーパーマーケットにおける購買動向

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 2020年は、新型コロナウイルスが世界中に蔓延し、様々な影響を受ける大変な1年となりました。そのような状況の中、食品スーパーにおいても従来と異なる購買行動が見られ、弊社コラムでもその動向に関して整理してきました。

 秋以降も第三の波が到来するなど、予断を許さない状況となっています。
 そこで、改めて食品スーパーにおける従来と異なる購買行動に関して、rsSMデータを用いて集計しました。尚、今回は特に関東エリアに限定し、大きな影響が生じ始めた3月以降の分析を行いました。

 最初に、各月の1店舗当たり平均来店者数を集計し、前年同月と比較しました。数値は前年同月の来店客数を100.0とした場合の指数を集計しました。すると、3月は前年を上回りましたが、4月以降は100.0を下回りました。つまり、そもそも各店舗に来店する人数が減少したことを示しています。

1店舗当たり平均来店者数
1店舗当たり平均来店者数

※前年同月の来店者数を100.0として指数化

 次に、来店者の月当たり来店回数を集計し、前年同月と比較しました。すると、全国すべての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について臨時休業要請が出た3月は、5.68回から、5.75回に増加しましたが、4月以降は前年を下回りました。この2つの分析結果から、食品スーパーは、来店者数(間口)、来店回数(奥行)ともに前年を下回ったことがわかります。

1人当たり来店回数
1人当たり来店回数

 しかし、前年に比べて大きく増加した数値があります。それは来店者のバスケット単価です。緊急事態宣言が発令された4月や5月は、前年比120%近い増加を示しました。その後も前年を上回る状況が続いています。

来店者1回当たりバスケット単価
来店者1回当たりバスケット単価

 これらのことから、ショッパーの以下の購買心理が伺えます。

  • ・いつもはいくつかの店舗を比較して来店していたが、コロナ禍では訪問する店舗の数を減らした。
  • ・来店回数そのものを減らして、まとめ買いを心がけた

 また、今後景気低迷が進むことで、リーマンショックのような低価格志向が進むことが予想されました。そこで、購買商品の平均商品単価を集計、前年同月と比較しました。すると、3月以降ずっと前年を上回っていることがわかりました。
 外食に行けない分高価格帯の商品の購買が進んだ、品切れしているカテゴリーは少々割高でも売場に残っている商品を購入した、来店店舗を減らしたため特売価格より少々高くても購買した、など様々な理由が考えられますが、現時点では景気低迷期のような価格志向は見られませんでした。

平均商品単価
平均商品単価

 来店時間帯も確認しておきます。以前のコラムでは来店時間が早まっていることを紹介しましたが、9月以降もその傾向は続いているのでしょうか。9月~11月の来店時間帯別金額構成比を前年同期と比較しました。
 すると、やはりこれまでと傾向は大きく変わらず、午前中の構成比が前年よりも高く、夜の構成比が前年よりも低いことがわかりました。また、従来は来店者があまり多くはない、13時~15時台の構成比が前年よりも高いことがわかりました。現在も密を避けて、なるべき混まない時間帯に来店している行動が伺えます。

時間帯別金額構成比
時間帯別金額構成比

 尚、バスケット単価が前年を大きく上回ったこともあり、多くのカテゴリーでは前年を上回る傾向が見られています。秋になってもその状況は続きました。
 そこで、前年同期(2019年9月~11月)に比べて点数PIが高いカテゴリー、増加幅の大きいカテゴリー(食品、嗜好食品。生鮮惣菜を除く)を紹介します。
 最初に、点数PIが高く、なおかつ前年比の高い主なカテゴリーです。納豆、豆腐などの水物、ヨーグルト、菓子パン、食パンなど朝食向け食材などが挙げられます。在宅率が高くなり、自宅で食事をとる人が増えたことが影響しているようです。また、近年レモンサワーが好調で、なおかつ家飲み需要がプラス要因となったチューハイ・カクテルも好調に推移しました。

点数PIが高く、なおかつ前年比の高いカテゴリー(食品、嗜好食品)
点数PIが高く、なおかつ前年比の高いカテゴリー(食品、嗜好食品)

※点数PIが高く、なおかつ前年比105%以上のカテゴリーを抜粋

 次に、点数PIはそこまで高くないものの、前年比が大きく増加したカテゴリーを抜粋しました。在宅率が高いことを背景に、生・ゆでラーメンや冷凍スナックなどのカテゴリーは依然として好調です。また、子供向けの乳飲料、子供菓子なども前年を大きく上回りました。ステイホームで我慢している子供向けに買っていることが考えられます。

前年比の高いカテゴリー(食品、嗜好食品)
前年比の高いカテゴリー(食品、嗜好食品)

※点数PIが10.0以上、なおかつ前年比120%以上のカテゴリーを抜粋

 2020年は大変な一年となりましたが、ステイホームが心がけられたことから、食品スーパー全体では堅調な推移を示しました。1月以降も外食を控えることで、しばらくはこの状況が続くと見られます。ただし、価格志向の消費者が増えることも想定されるため、低価格化が進んだ際の取り組みを今から検討しておく必要があるでしょう。

 今後もショッパーインサイトでは定期的に来店者の購買動向を把握し、皆様に情報を提供してまいります。2020年のコラムは今回が最後です。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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