コラム

2020年末の食品スーパーマーケットにおける購買動向

2020年末の食品スーパーマーケットにおける購買動向

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 新型コロナウイルスの影響により、年末年始はステイホームが呼びかけられたため、自宅でクリスマスや年末年始を過ごす人が例年よりも多くなったことが見込まれます。そこで、rsSMデータを用いて、クリスマスの時期、年末の時期の購買行動に関して、どのような点が前年と異なるかを分析しました。

 最初に、12月23日~31日までの1店舗当たり平均来店者数を集計し、前年同日と比較しました。数値は前年同日の来店客数を100.0とした場合の指数を集計しました。すると、クリスマス期の23日~25日は来店者数が前年を下回りました。3日間平均では前年比93.3%でした。
 一方、2020年は26日と27日が土日だったため、両日は前年を大きく上回り、さらに30日も前年を上回りました。しかし、最終日が前年を下回ったこともあり、6日間平均では前年比99.4%とほぼ前年並みでした。

1店舗当たり平均来店者数
1店舗当たり平均来店者数

※前年同日の来店者数を100.0として指数化

 次に、1回当たりのバスケット単価を日別に集計し、前年同日と比較しました。まず、2019年も2020年も年末になるにつれて、徐々にバスケット単価が増加することがわかります。
 前年比較では、2020年は31日を除いて前年のバスケット単価を上回りました。来店人数は前年より少ない、または前年並みの中、バスケット単価は前年を上回っていることから、来店頻度を減らして、1回当たりのまとめ買いを増やす傾向が年末にも見られました。

1回当たりバスケット単価(日別)
1回当たりバスケット単価(日別)

 尚、期間平均のバスケット単価も集計しました。クリスマス、年末ともに前年を150円以上上回りました。

1回当たりバスケット単価(期間平均)
1回当たりバスケット単価(期間平均)

 商品単価も集計しましたが、クリスマスは前年よりも単価が、年末ともに若干前年を上回りました。少なくとも低単価の商品を多く購入したためバスケット単価が上昇したわけではなさそうです。

平均商品単価
平均商品単価

1.クリスマス期の動向
 それでは、どのようなカテゴリーがよく購買されたのでしょうか。最初にクリスマス期(12月23日~25日)の動向を見ていきます。
 下記図表は食品・嗜好食品において、前年に比べてクリスマス期の点数PIが上昇した主なカテゴリーを抜粋したものです。酒類ではワインが好調に推移しました。以前のコラムでは、クリスマス期の輸入ワインは減少傾向が見られていましたが、自宅でワインを楽しんだ人が例年よりも多かったようです。ナチュラルチーズ、トマト加工品、レトルトターキー・チキンなどワインに合いそうな食品のPI値も上昇しました。
 ホイップクリーム、デザート素材なども好調に推移しました。自宅でケーキを作った人も例年よりも多いようです。
 また、生・ゆでラーメン、カレーレトルトなど、これまで好調に推移していたカテゴリーは、クリスマス期でも前年を大きく上回りました。

クリスマス期に点数PIが上昇した主なカテゴリー(食品・嗜好食品)
クリスマス期に点数PIが上昇した主なカテゴリー(食品・嗜好食品)

 次に、生鮮・惣菜食品・嗜好食品において、前年に比べてクリスマス期の点数PIが上昇した主なカテゴリーを抜粋しました。いちごは2019年には価格高騰の影響を受けましたが、200年は需要が回復したようです。また、銘柄豚や銘柄鶏も前年を大きく上回っており、高めの商品を購買していることがわかりました。

クリスマス期に点数PIが上昇した主なカテゴリー(生鮮・惣菜)
クリスマス期に点数PIが上昇した主なカテゴリー(生鮮・惣菜)

2.年末の動向
 年末の動向も見ていきます。下記図表は食品・嗜好食品において、前年に比べて年末の点数PIが上昇した主なカテゴリーを抜粋したものです。
 冷凍スナックなどの冷凍食品、シチュールーなどの調味料などは、前年よりも大きく点数PIが増加しました。
 当初「おせち」や「数の子」などおせち関連のカテゴリーが大きくPI値を増加させることを想定していましたが、実際にはそこまで増加しませんでした(たとえば、おせち点数PI 2019年 129.2→2020年 130.7)。自宅で過ごす人が増えたものの、食品スーパー以外でおせちを注文する、自宅にいてもおせちを作らない・食べない、また、来客が少なくなったため前年よりも量を減らしたなどの理由が考えられます。

年末に点数PIが上昇した主なカテゴリー(食品・嗜好食品)
年末に点数PIが上昇した主なカテゴリー(食品・嗜好食品)

 次に、生鮮・惣菜食品・嗜好食品において、前年に比べて年末の点数PIが上昇した主なカテゴリーを抜粋しました。まぐろ冊、和牛切り落としなど価格帯の高いカテゴリーの増加幅が大きく、高価格帯カテゴリーへの需要が高まったことが、全体のバスケット単価アップにもつながったと言えるでしょう。

年末に点数PIが上昇した主なカテゴリー(生鮮・惣菜)
年末に点数PIが上昇した主なカテゴリー(生鮮・惣菜)

 食品スーパーにとっては、ステイホームが心がけられたことから、クリスマス、年末でのバスケット単価アップ、高価格帯カテゴリーへの需要増が見られ、全体では堅調に推移しました。しかし、コロナ禍での内食志向が急速に高まってから1年が経とうとしており、今後は急速に低価格志向へ転じることも考えられます。定期的に動向を把握しておく必要があるでしょう。本コラムでも適宜ご紹介してまいります。

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