コラム

テレビ視聴と購買行動 株式会社ショッパーインサイト 主任コンサルタント 矢野尚幸

テレビ視聴と購買行動 株式会社ショッパーインサイト 主任コンサルタント 矢野尚幸

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 テレビで紹介されている食品を見ている時に、「食べてみたいなあ」と思うことがあるかもしれません。実際そのように感じる方は多いようで、テレビで取り上げられた翌日に、その商品の販売点数が大きく増加すること現象はよく見られます。それでは、実際にテレビで取り上げられると、どのくらい放映前よりも販売点数が増加するのでしょうか。また、購入している人はどのような方々なのでしょうか。提案されたレシピ通りに買い物をしているのでしょうか。食品スーパーマーケットのID-POSデータを収集しているrsSMデータを用いて、分析を行ってみました。

 今回は、2016年1月26日(火)にTBS系列「マツコの知らない世界」で取り上げられた各種鍋つゆ商品を例に分析します。テレビで取り上げられた鍋つゆは以下のものです。

商品名

 最初に、放映前週3日間(1月20日~22日)と放映後3日間(1月27日~29日)を比べて、どのくらい販売点数が増加したのかを集計しました。5商品合計では、前週3日間に比べて4.9倍販売点数が増加しました。どの商品も少なくとも2倍以上増加していますが、その中でも久原はくさいのうま鍋あごだし醤油味は18.3倍も増加しました。

販売店数推移

 さらに、放映後に久原はくさいのうま鍋あごだし醤油味を購入した人の購買特徴を見てみましょう。まず、放映後3日間で購入した人が過去4カ月(2015年10月1日~1月26日)に、同商品の購入経験があるかどうかを集計しました。すると、購入者のうち、過去の購入経験があったのは7.0%でした。放映後購入者の大部分の方が、テレビで商品を知って購入したことが推測されます。

過去4カ月の購入経験(久原はくさいのうま鍋あごだし醤油味)

 次にどの世代の人が最もよく反応したのでしょうか。ここでは、女性を年代別(30~40代女性、50~60代女性、70~80代女性)に分けて、放映前後の点数PI(来店者1,000人当たりの販売点数)を比較しました。すると、放映後3日間で最も高い点数PIとなったのは30~40代女性であり、より若年層からの購入が進んだことがわかります。

性年齢別点数PI

 また、単に鍋つゆが売れただけではなく、鍋に用いるカテゴリーの併買率も高まっています。下記図表は、放映前(1月1日~26日)と放映後(1月27日~29日)に、久原はくさいの鍋つゆあごだし醤油味購入者が一緒に購買したカテゴリーは何か、同時併買分析を行った結果です。

  • ※同時併買分析の詳しい説明は、こちらをご覧ください
同時併買分析

 すると、もともと一緒に買われる傾向が強かった白菜の併買率がさらに高まっただけではなく、レシピで提案されていた春雨や麩などの併買率も高まっています。また、鍋つゆの併買も高まっており、複数の商品を購入する人が増えたようです。
 一緒に購買された鍋つゆは以下の通りです。同じブランドの商品だけではなく、番組でとりあげられた商品の併買が高かったようです。

併買商品

 このように、テレビで取り上げられると消費者の関心が高まり、店頭での購買が促進されるようです。そして、その購買客の大部分はトライアルであることが多いでしょう。そのため、トライアルで獲得できた顧客をいかにリピート顧客として定着させるかが、重要であるといえるでしょう。

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