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2016-09-25

2章分析事例 4.ID-POSデータを用いた価格分析

著:株式会社ショッパーインサイト データマーケティンググループ

監修:横浜国立大学 大学院国際社会科学研究院 准教授 寺本高先生

 店頭では、多くの商品で価格を値引くプロモーションが行われています。割安な価格で商品を購入できるため、ショッパーには歓迎されますが、過剰な特売は小売業にとっては利益減少につながります。また、メーカーにとっても、自社商品の参照価格(参照価格に関する説明は本章をご覧ください)が低下することでブランドが衰退化してしまいます。適切な価格を設定するためには、自社商品の主要販売価格帯を理解しておくことが重要ですが、ID-POSデータを用いると、ヘビーユーザーが主に購買する価格帯がいくらなのかも把握することが可能です。

(1) 参照価格の低下によるブランド衰退化

 価格訴求に依存すると、ショッパーの参照価格が低下してしまいます。寺本(2011)は参照価格の低下によるブランド衰退化のイメージを説明しています。
 参照価格とは消費者の過去の購買経験によって作られている価格のことです。消費者は、店頭で表示された価格(店頭表示価格)と自分の記憶内にある参照価格を比較し、店頭表示価格が参照価格を下回っていると「安い」と判断し、購入に至ります。しかし、「安い」と判断したときの安さのインパクトが大きいと新たな参照価格として形成されてしまいます(図表1)。そのため、価格訴求に走らないと売上を確保できなくなり、店頭表示価格をさらに下げざるを得なくなります。最終的には、その商品を販売しても十分な利益を確保できず、ついには店頭の棚から外されてしまいます。

図表1 参照価格の低下

 そのため、ブランドを育成していくためには、価格だけに依存しないプロモーションを展開する必要があります。

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