Column コラム
2022.02.22
購買者増加が続くオートミールの販売動向
オートミールへの需要が高まっています。きっかけは、2020年初めに「手軽に食べられる健康食」とユーチューバーたちが配信したことが指摘されています※1。低糖質で高たんぱく、低GI値であることから、ダイエットによい商品と訴求されています※2。また、従来の食べ方に加えて、水と混ぜて電子レンジで温めて米のようにして食べることが紹介されたことも需要増加につながっています。そこで、rsSMデータを用いて食品スーパーにおけるオートミールの販売動向を明らかにしました。
主なオートミール商品は下記のとおりです。従来は味のついていないもの(本コラムでは「プレーン」と定義)が販売されていましたが、2021年に入り、「旭松オートミール紀州うめ」、「おいしいオートミール トマトクリームリゾット風」など、味がついているオートミール(本コラムでは「味付き」と定義)が発売されており、トライアルのしやすさを訴求しています。
最初に、オートミールを「プレーン」「味付き」に分けて月別点数PIを集計しました。前年を上回る状況が続いており、2022年1月も前年同月を大きく上回りました。「味付き」は発売間もないこともあり、点数PIとしては大きくありませんが、徐々に高まる傾向が見られます。
オートミールの月別点数PI
次に、オートミールはどのような世代に購買されているのでしょうか。ここからは、プレーンのオートミールに限定して集計を行いました。
下記は、プレーンのオートミールにおける性年齢別の出現率(=期間中来店者のうち、当該カテゴリーを購買した人の割合)を集計し、前年同期と比較したものです。全ての世代で前年を大きく上回りました。特に、従来の主要購買者層だった若年女性の増加率が高いです。男性も20~30代を中心に前年を大きく上回りました。
オートミール 性年齢別出現率
オートミールの買われ方も確認しておきましょう。下記は、需要がより高まり始めた2021年4月~6月にオートミール(プレーン)を購買した人が、同時に併買しやすい主なカテゴリーを抜粋したものです。
豆乳や、ナチュラルチーズ、ヨーグルトといった乳製品との併買が多いです。農産では、冷凍野菜、アボカド、キウイフルーツなどとの併買が多いです。朝食向けの食材が好まれています。
オートミール(プレーン)バスケット併買分析(2021年4月~6月)
これまで紹介したように、オートミールは、若年層を中心として購買者が増加しており、乳製品や各種農産との併買が多く見られています。それでは、トライアル購買者にリピート購買してもらうためにはどのような取り組みが必要でしょうか。おそらく、既にリピート購買が定着しているショッパーは、朝食以外の利用の仕方が定着していると考えられ、その使い方を提案することが望ましでしょう。
そこで、2020年1月~12月、2021年1月~12月にそれぞれ3回以上オートミール(プレーン)を購買しているショッパーを「継続利用者」と定義し、同時に購買しているカテゴリーに変化はないか確認しました。
下記図表は、継続利用者が2020年4月~6月、2021年4月~6月に同時に購買しているカテゴリーを集計し、2021年4月~6月の方が同時併買率の高い主なカテゴリーを抜粋したものです。
すると、キウイフルーツ、ヨーグルト、豆乳などのほか、畜産加工品他(鶏そぼろ、鶏ささみフレーク、サラダチキンなど)、和風レトルト、即席スープなどとの併買率が高まっていることがわかります。
和風レトルト、即席スープに関しては、もう少し細かく見ていきます。下記図表は、2021年1月~12月において、来店者全体に比べてオートミール継続購買者の購買点数が相対的に高い主な商品です。さば煮缶や高野豆腐などを好んで購買しています。さば煮缶はレシピサイトや各種雑誌等でも取り上げられており、料理用途にオートミールを用いる傾向が伺えます。
一方、ごぼうやさつまいもを用いた商品は相対的に低く、糖質を気にして購買を控えていることが確認できます。
オートミール継続購買者が好む主な和風レトルト
即席スープでも同様の分析を行いました。下記図表は、2021年1月~12月において、来店者全体に比べてオートミール継続購買者の購買点数が相対的に高い主な商品です。糖質オフ訴求の商品や、野菜を多く用いたことを訴求する商品を好んで購買しています。一方、ワンタンスープやコーンスープは相対的に低いことがわかりました。
オートミール継続購買者が好む主な即席スープ
これらより、糖質を気にする層がオートミールを継続して購買し、朝食等に手軽に食べるだけではなく、調理用途に用いることも伺えます。需要を一時的なものにしないためにも、これら食材を用いた提案を行うことで、継続して購買してもらうための取組が重要でしょう。
※1 東洋経済 2021年11月15日号
※2 オレンジページ 2022年2月2日号
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