毎月末の金曜日を「プレミアムフライデー」とする取り組みが2017年2月24日より開始されました。企業が従業員に対して午後3時には仕事を終えるよう呼びかけ、買い物や食事に出かけてもらうことで低迷を続ける個人消費を盛り上げる狙いがあります※1。この取組には様々な企業・団体が賛同しています。
それでは、初めての「プレミアムフライデー」を迎えたことで、食品SMの販売動向には今までと違いが生じたのでしょうか。rsSMデータを用いて確認します。
2017年2月24日(金)の動向と前年同期(2016年2月26日)の動向を比較しました。
最初に1店舗当たりの販売金額、バスケット単価、商品単価に違いがあったのかを集計しました(図表1)。すると、いずれもほぼ前年並みであり、プレミアムフライデーにより、店舗の販売金額が増加した、バスケット単価が増加した、という動きは見られませんでした。
図表1店舗全体の販売動向

男性30-50代、女性30-50代に限定して、バスケット単価と商品単価を集計しました(図表2)が、全体同様に上記世代でもほぼ前年並みでした。
図表230-50代(男女)への販売動向

次に、プレミアムフライデーによって、来店する時間帯に変化が生じたのかを見るため、女性30-50代、男性30-50代の時間帯別販売金額構成比を集計しました。プレミアムフライデー1日の販売金額を100%とした場合の各時間帯別販売金額構成比を集計し、前年同期と比較しました。
図表3が女性30-50代の時間帯別構成比です。前年とほぼ同様の構成比となっており、プレミアムフライデーにより来店時間帯が早まったということはなさそうです。
図表3時間帯別販売金額構成比(女性30-50代)

※15時以前の構成比は割愛
同様に、男性30-50代の構成比を集計しました(図表4)。 すると、若干ではありますが、17時台から20時台の構成比が高まり、21時台から22時台の構成比が低下しました。前年よりも早い時間帯の金額構成比が高まりました。
図表4時間帯別販売金額構成比(男性30-50代)

※15時以前の構成比は割愛
また、食品SM全体では販売動向に大きな違いは生じませんでしたが、カテゴリー別に見ると前年、前々年よりも販売金額が増加したカテゴリーがあります。いくつかの特徴を整理してみました。
1 畜産の購買
畜産カテゴリーにおいて、前々年、前年よりも1店舗当たりの販売金額が増加した(減少した)主なカテゴリーを抜粋しました(図表5)
前々年、前年よりも、国産牛や通常牛、通常豚などの販売金額が増加しました。一方、和牛は減少しました。お手軽な価格の肉類が好まれたようです。
図表51店舗当たりの販売金額(畜産)

2 鮮魚の購買
鮮魚カテゴリーにおいて、前々年、前年よりも1店舗当たりの販売金額が増加した主なカテゴリーを抜粋しました(図表6)
前々年、前年よりも、えび刺身、本まぐろ刺身、刺身盛り合わせなどの販売金額が増加しました。
図表61店舗当たりの販売金額(鮮魚)

3 鍋関連食材の購買
鍋関連食材において、前々年、前年よりも1店舗当たりの販売金額が増加した主なカテゴリーを抜粋しました(図表6)
前々年、前年よりも、鍋つゆ、ポン酢などの調味料や、エリンギ、舞茸、春菊、白菜などの販売金額が増加しました。
図表71店舗当たりの販売金額(鍋関連食材)

4 酒類の購買
酒類において、前々年、前年よりも1店舗当たりの販売金額が増加した(減少した)主なカテゴリーを抜粋しました(図表6) 前々年、前年よりも、ビール、チューハイ・カクテル、ウィスキーなどの販売金額が増加しました。一方、発泡酒の販売金額は減少しました。
図表81店舗当たりの販売金額(酒類)

プレミアムフライデーは始まったばかりであり、さらに一部の企業が導入したにすぎないため、食品SMに及ぼす影響はそこまで大きくありませんでした。
しかし、刺身類や酒類など、単価の高い食材が前年同期よりも金額が増加しており、プロモーションの仕方によっては需要を活性化できる可能性があることも示しています。今後どのような動きが見られたか、注目していきます。
出所
- ※1 日本経済新聞 2016年12月16日
- ※2 プレミアムフライデー推進協議会 事務局ホームページ