株式会社ショッパーインサイトでは、半年に1回食品スーパーマーケットにおける消費者の購買行動をまとめており、このたび2018年10月~2019年3月の食品スーパーマーケット業態 購買行動データを発刊しました※1。今回のコラムでは特に注目される動向をご紹介します。
まず、来店客1人当たりの2018年10月の平均来店回数、購買金額、購買点数、客単価、1回当たり平均購買点数を整理しました(平均購買金額、客単価は税込)。
2018年10月の購買動向

すると、平均来店回数は上回ったものの、平均購買点数や1回当たり平均購買点数は前年を下回りました。
月別の平均来店回数、購買点数の推移を見てみました。来店回数はほぼ前年並みの月が多い一方、平均購買点数は10月、11月など下回る月が多くなりました。前年同期とは逆に、1回当たりの購買点数が少なくなったようです。
月別購買動向

次に、カテゴリー別の下半期の動向を分析し、期間中平均購買金額(1人当たり)や、購入経験率(期間中来店者のうち購入したことのある人の割合)を集計しました。ともに前年を大きく上回ったのが下記のカテゴリーです。玉葱、梅干、カニカマなどテレビで取り上げられた食材が全般的に好調な傾向を示しました。水産加工品他の多くはサバ缶水煮が占めており、こちらもテレビで取り上げられたことがきっかけで前年を上回る状況が続いています。
下半期カテゴリー別購買動向(増加率の大きなカテゴリー)

一方、期間中平均購買金額(1人当たり)や、購入経験率(期間中来店者のうち購入したことのある人の割合)がともに前年を大きく下回ったのは下記のカテゴリーです。前年同期は葉物野菜の価格高騰が続いたため、価格が安定しているもやし、豆苗の購入が進みましたが、今年度はその反動が見られたようです。一方、白菜は平均価格が前年に比べて下がったものの、需要はそれほど高まりませんでした。例年よりも暖冬傾向が見られたため、鍋で食べる機会が少なかったのかもしれません。
下半期カテゴリー別購買動向(減少率の大きなカテゴリー)

さらに、性年齢別の動向を整理しました。年代による購買の違いを見るため、例として2018年下半期に好調だったカニカマの期間中購買金額(半年間)と購入経験率(半年間)を、女性の年代別に集計しました。すると、年代が高まるにつれて、購買金額、購入経験率ともに増加する傾向が見られました。特に女性70代、80代は前年同期よりも8ポイント近く購入経験率が高まっており、昨年同期は購入していなかったにも関わらず、購入するようになった顧客が非常に多いことがわかります。
カニカマカテゴリーの購買動向

一方、年代により異なる傾向を示すカテゴリーもあります。2017年下半期でも取り上げた洋風スパイスの購買金額と購入経験率を年代別に集計しました。すると、期間中平均購入金額はどの世代も増加しており、洋風スパイスにかける金額は増加傾向にあると言えます。一方、購入経験率は女性50代以下ではほぼ前年並みなのに対して、女性60代以上は若干減少しました。このことから、女性60代以上はより利用すると人、利用しなくなった人に分かれる傾向が見られることから、使わなくなった層への訴求が必要です。
洋風スパイスカテゴリーの購買動向

- ※1 2018年下半期 食品スーパーマーケット業態 購買行動データ(月別購買行動編/性年代別購買行動編の詳しい概要はこちらをご覧ください