コラム

東京オリンピック2020開催中の食品スーパーの動向

東京オリンピック2020開催中の食品スーパーの動向

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 1年の延期を経て開催された東京オリンピック2020は、2021年8月8日に閉会式が行われ、すべての日程を終えました。その一方で、新型コロナウイルス感染者が増加し、7月12日から4度目の緊急事態宣言が出されるなど、依然として終息の気配を見せません。
 このような状況で、オリンピック期間中の食品スーパーの動向はどのようなものだったのでしょうか。real shopper SMデータを用いて分析しました。尚、今回のオリンピック期間(2021年)と前年同期(2020年)、一昨年同期(2019年)の期間は下記のとおりです。

2019年:7月26日(金)~8月11日(日)
2020年:7月24日(金)~8月9日(日)
2021年:7月23日(金)~8月8日(日)

 最初に、食品スーパーにおけるオリンピック期間中の食品全体の金額PIを集計し、前年同期と一昨年同期と比較しました。すると、2020年と比べて前年比100.4%となりました。2020年はコロナウイルス蔓延に伴い需要が大きく増加していた頃でしたが、さらに上回ったことになります。

オリンピック期間中食品全体の金額PI
オリンピック期間中食品全体の金額PI

 参考までに、オリンピック開催前の期間でも同様の分析を行いましたが、2021年は前年同期比99.4%で微減となりました。そのため、オリンピック期間中は、食品スーパーは堅調に推移したことがわかります。

オリンピック期間前食品全体の金額PI
オリンピック期間前食品全体の金額PI

※2019年:7月5日(金)~7月14日(日)
 2020年:7月3日(金)~7月19日(日)
 2021年:7月2日(金)~7月18日(日)

 次に、オリンピック期間中は来店時間に違いがあったのかを見るため、時間帯別金額構成比を集計し、前年、一昨年と比較しました。すると、2020年には午前中や夕方の構成比が高まりましたが、2021年は2019年とほぼ同様の傾向を示しました。
 2020年は、在宅勤務の広がりを受けて、夜の来店者が減少したことが影響しています。2021年も、同様に在宅勤務者の影響を受けることと、オリンピック期間中でテレビ視聴を楽しむため早めに買物をするのではないかと想定して集計しましたが、あまりその影響はないようです。また、2020年のような夜の来店者が減少する動きも落ち着きを見せたと言えます。

オリンピック期間中の食品スーパー時間帯別金額構成比
オリンピック期間中の食品スーパー時間帯別金額構成比

 オリンピック期間中に、食品スーパーで好調に推移したカテゴリーはどのようなものが挙げられるでしょうか。下記図表は、i-code分類4別にカテゴリー別金額PIを集計し、前年同期と比べて増加率の高い主なカテゴリーを抜粋したものです。
 冷凍惣菜、中華惣菜煮物、丼物などの増加率が高いです。また、ビールやプレミアムアイスといったカテゴリーの増加率も高いです。在宅率の高まりにより、惣菜や飲料、アイスクリームなどへの需要が高まったものと見られます。また、前年は袋麺などストックできる食材への需要が高まりましたが、今年はその動きは落ち着きを見せ、惣菜など即食のものへの需要が高まりました。

オリンピック期間中に好調に推移した主なカテゴリー(i-code分類4)
オリンピック期間中に好調に推移した主なカテゴリー(i-code分類4)

※前年比120%以上かつ金額PIの大きなカテゴリーを抜粋
※2021年は土用の丑の日が分析期間中に該当したため、鰻長蒲焼は前年に比べて大きく増加

 ここからは、プレミアムアイスとビールカテゴリーに着目して、さらに細かく見ていきます。両カテゴリーともに前年同期と比べて大きく金額PIが増加しましたが、性年齢別に見るとどの世代の購買が進んだことがプラス要因となったのでしょうか。両カテゴリーの期間中性年齢別出現率(=期間中来店者のうち当該カテゴリーを購買した人の割合)を集計し、前年同期と比較しました。
 すると、ビールはどの世代も前年に比べて出現率は高まりましたが、特に若年男性の増加率が高くなりました。また、プレミアムアイスも同様に、どの世代も前年に比べて出現率が高まりましたが、特に男女ともに若年層の出現率の増加率が高くなりました。両カテゴリーに関しては、オリンピック期間中に若年層の購買が進んだことがプラス要因となりました。

ビールカテゴリーの性年齢別出現率
ビールカテゴリーの性年齢別出現率
プレミアムアイスカテゴリーの出現率
プレミアムアイスカテゴリーの出現率

 それでは、どのような商品の需要が高まったのでしょうか。仮説として在宅時間が増えたことで大容量または〇個入りの商品への需要が高まったことで、ビール、プレミアムアイスカテゴリーが好調に推移したと考えました。そこで、両カテゴリーの大容量、〇個入り商品に限定して金額PIを集計し、前年同期と比べてどの程度増加したのかを比較しました。尚、今回分析対象とした主な商品は下記のとおりです。

主な大容量・〇個入り(アソート)商品
主な大容量・〇個入り(アソート)商品

 分析結果は下記図表のとおりです。ビール、プレミアムアイスカテゴリーは、大容量・〇個入り(アソート)の商品は前年比110%以上となりましたが、カテゴリー全体に比べると、増加率は高くありませんでした。そのため、まとめ買いよりも、1個入りの商品への需要が高かったようです。

ビールカテゴリーの金額PI
ビールカテゴリーの金額PI
プレミアムアイスカテゴリーの金額PI
プレミアムアイスカテゴリーの金額PI

 以上の分析より、オリンピック期間中の食品スーパーは、全体では前年よりも若干金額PIが上回りました。また、惣菜や飲料、アイスクリームなどを中心に前年よりも大きく金額PIが増加しました。ビールやプレミアムアイスは、若年層の出現率が高まり、食べきり、飲みきりの1缶、1個の商品への需要が高まったことがプラス要因となったことがわかりました。
 様々な要因が影響するためオリンピックによる効果とは言えませんが、少なくとも今回分析した期間には食品スーパーは堅調な動きを示しました。現在も外食を控えざるを得ない状況が続いていることから、しばらくは惣菜や飲料等を中心に、消費者のニーズが高いものと見られます。

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