Column コラム
2022.06.30
食品の値上げによる購買行動の変化を確認
本年3月以降 為替 原料調達 輸送コスト増などの影響で、食品メーカー各社から商品の値上げが相次いで発表され現在も続いている状況です、この値上げ影響が消費者の購買行動にどのように影響が出ているかを弊社 realshopperSMで検証してみました。
実際には生鮮も為替や相場による値上げの影響は大きいのですが、今回はi-codeの分類1の「食品」に絞って検証をしております。また会員マスターを利用しての分析を行った為、関東エリアデータに絞っておりおます。
2022年週次 1店舗当たり総購入金額 因子分解 前年比推移
週次で総購入金額前年比を バスケット数前年比 購入点数前年比 購入単価前年比に分解し、購入単価の変化がどのように他の因子に影響が出ているか確認しました。
購買単価は3月中旬から上昇傾向となり、そのタイミングで購買点数とバスケット数の減少が顕著となっております。購買単価がアップしてきたことで他の店舗への買い回りが起こっていると想定されます。
2022年5月16日~6月12日 4週間の購入回数での会員グループ設定
今回の値上げ検証ではお客様の買い回り影響を考慮して分析を行う必要があった為、rsSMの機能の会員マスター登録で会員をグループ化し会員IDを固定して分析しました。
[会員グループ設定定義]
2022年5月16日~6月12日の4週間の間に関東 分類1「食品」の購入回数で分類しました。
また前年同期で購入実績がないIDは「流入」、前年同期で購入実績があるが、本年対象期間に購入実績のないIDは「流出」としました。
[考察]
流動層の会員数・全会員購入金額の寄与度の流入・流出の相殺は最小限に抑えられていますが、流出会員の総購入金額の影響は寄与度-15.9%と大きく、流入も寄与度+16.1%と流出を上回っているものの、顧客の流動が大きいという事が分かります。
既存会員の動向を見ると、会員数は2022年の設定期間の購買実績で会員固定をして分析をしているので会員数の変動はありませんが、購入金額の寄与度を確認すると1~3回グループの寄与度-8.2%と大きくマイナスしており。購買回数の少ないグループでは買い回り行動が激しくなっていると思われます。
逆に8回以上のグループは寄与度が+3.4%と拡大していて、ストアロイヤリティーがあがった為と考えられます。
買い回りが激しくなる中でストアロイヤリティーを上げ購買をいかに拡大するかがより重要になってきていると思われます。
※寄与度については4月コラム「3月のひな祭り お彼岸 和の季節催事の動向は?(後編)」に説明を記載しています。
2022年週次 来店回数グループ別 週次 総購入金額 因子分解 前年比推移
購入回数グループ別に総購入金額前年比の推移と総バスケット数の推移バスケット当たり購入金額前年比の推移を比較しました。
購入回数8回以上グループは総購入金額・総バスケット数ともに年初から大幅に前年を超えていて、3月中旬ダウンしていますが、高い成長率を維持しています。4~7回グループはコロナ影響の強い3月中旬までは8回以上グループ同様、総購入金額。総バスケット数ともに高い成長率で推移、3月中旬以降は総バスケット数ダウン影響で前年を割れていますが、直近5月後半からは100%に戻しています。
1~3回グループの総バスケット数の前年比は年初から前年を割っていて、バスケット当たり購入金額が上昇し始めた3月中旬から更に急激に下降してきています。値上げの影響は来店回数の少ない会員の買い回り行動に拍車をかけてしまっていると想定されます。
2022年5月16日~6月12日4週間計 【来店回数グループ別】因数分解
今回値上げの影響を店舗の買い回りによる減少や増加を最小限に抑え分析をしたかったので、買い回り影響の少ない4~7回のグループに絞って、分類1「食品」を分類4の粒度で購入単価のアップ率と1人当たり購入点数の増減で4象限分析を行いました。
購入回数4~7回グループ 購入単価前年比・1人当たり購入点数前年比 4象限分析
購入回数4~7回のグループに絞り、購入単価前年比と一人当たり購入点数前年比の4象限分析で分類4の粒度で確認すると、購買単価アップが購入点数にマイナス影響を及ぼしているサブカテゴリーが圧倒的に多いことが確認できます[ABゾーン]。現在は一人当たり購入点数が前年マイナスでも、値上げ分で総購買金額前年比が100%を超えているサブカテゴリーも多いのですが、値上げが一巡すると購買点数の前年割れが大きく響いてきます。
購買点数ダウンを最小限に留める為の需要喚起策が必要となっています。