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Column コラム

2023.11.14

ドラックストアと食品スーパーの購買行動比較<冷凍食品編>

 食品領域におけるドラッグストアの取扱いは年々増加しています。ショッパーインサイト社ではドラッグストアと食品スーパーの購買行動比較をSegment of One & Only株式会社様(SOO) の協力を得て、SOOパネルデータ*の提供を受けてコラムを展開してまいります。
 第1回目は「冷凍食品」をテーマとして取り上げました。

 今後、メーカー様に対してSOO様と協働で、ドラッグチェーンにおける食品購買行動のデータ分析やrsSMデータと掛け合わせた分析レポートをご提供していく予定です。

*SOOパネルデータ
地域密着型ドラッグストア、全国29企業のID-POSを統合。1,400店舗・80億件以上の国内最大級のビックデータ。

ドラッグストアと食品スーパーの購買行動比較【冷凍食品編】

今回のレポートでは、食品流通においても存在感を高めているドラッグストアを対象として、食品スーパーとの比較で購買行動の違いを分析してみます。
分析対象として今回は両チャネルにおいて取り扱い意欲の高い「冷凍食品」を対象とし、集計期間は2022年3月~2023年2月までの1年間といたします。食品スーパーの販売状況に関してはrealshopperSM全国会員のみ、ドラッグストアの販売状況に関してはSegment of One & Only株式会社が管理運営している、SOO加盟ドラッグストアから収集したID-POSデータをJICFS分類で統合したSOOパネルデータを利用しております。

ドラッグストアと食品スーパーの購買行動比較

まずは、会員顧客の冷凍食品購入経験率を比較してみます。

冷凍食品の年間購買経験率

年間で冷凍食品の購入経験のある顧客は、食品スーパーで43.2%、ドラッグストアで35.8%となり食品スーパーの方が冷凍食品を買う顧客の比率は高くなっています。

冷凍食品の年間購買経験率対前年増加率

しかし前年と比べると食品スーパーではその率は前年に比べ3%ほど減少していますが、ドラッグストアでは0.2%ほど微増しておりその差は縮まっています。

購入経験者の購買回数、購買金額、購買点数を見ると以下のようになっています。

購買回数、購買金額、購買点数比較

購買回数、購買点数では食品スーパーの方が若干多くどちらのチャネルも前年よりも減少しています
しかし購入者一人当たりの購買金額は前年より増加しており、この数字はドラッグストアの方が高くなっています。
ドラッグストアで冷凍食品を買う人の比率はスーパーより少ないのですが、ドラッグストアで買う人は金額ベースで見ればスーパーで買う人よりも沢山買っているようです。

購買一回当たりの金額、点数を見ると以下のようになっています。

購買一回当たりの金額、点数比較

購買一回当たり購入額は食品スーパー431円、ドラッグストア484円、購買一回当たり購入点数は食品スーパー1.88点、ドラッグストア1.99点となりドラッグストアの方がまとめ買い傾向が強いようです。

点数単価を見ると以下のようになっています。

点数単価の比較

点数単価はドラッグストアの方が高くより食品スーパーより高単価の商品が買われているようです。
冷凍食品も食品の値上げトレンドの例外ではなく、前年に比べて両チャネルとも単価が上昇しており点数減を単価増でカバーして金額ベースで増加した様子です。
単価の上昇幅は食品スーパーで108.4%、ドラッグストアで107.8%とわずかに食品スーパーが高くなったものの、点数の減少幅が食品スーパーの方が大きく、購買金額ではドラッグストアの方がより伸長する結果となったようです。

ドラッグストアと食品スーパーの購入者属性比較

冷凍食品購入経験者の男女構成比は以下のようになっています。

購入者男女比率

冷凍食品の購入者構成比では食品スーパーが8:2、ドラッグストアが7.5:2.5程度となっており、どちらも女性が多いですが食品スーパーよりもドラッグストアで男性比率が高くなっています。
購入金額構成でも傾向は同様ですが購入者構成比よりも多少女性比率が高くなります。

更に年齢別で見ると以下のようになります。

性年齢別購入者構成比

男女ともに40代以下でドラッグストアが強く、男性は50代もドラッグストアが相対的に強くなっています。ドラッグストアの方が一人当たりの冷凍食品購入金額や点数単価が高くなっているのは、40代で同居する子供がおりお弁当の個数も多い世帯が多いため大容量商品の購入が多いということなのかもしれません。

次に、高齢者の構成比を比較すると以下のようになります。

購入者人数高齢者構成比

65歳以上のシニア比率は購入者の比率で食品スーパー33.6%、ドラッグストア24.9%とドラッグストアは低くなっています。

この、食品スーパーの方がシニアに強くドラッグストアは若年層や男性に強い傾向は冷凍食品に限ったものではなく、以下のグラフのようにドラックストアの顧客全体を見ても同じ傾向が見て取れます。

性年齢別構成比(会員全体)

ドラッグストアは食品スーパーに比べ顧客層が若いので、今後も成長する可能性が高く、LTVとしても高い顧客が多いと考えられます。
また、食品スーパーではリーチに限界がある男性層に相対的に強いので食品領域で顧客層を広げるうえでコンビニとともに効果的なチャネルとも言えるのかもしれません。
また、その反面でドラッグストアはシニア層の取り込みに課題があると捉えることもでき、シニア層に訴えるMDや販促という切り口があるのかもしれません。

ドラッグストアにおける冷凍食品購入者の他カテゴリー購入状況

最後に、「ドラッグストアは購買頻度の高い食品を扱うことで顧客の来店頻度を上げ、その来店客に利益率の高い化粧品や薬をクロスセルしている」と言われますが、実際にドラッグストアにおける冷凍食品購入者が他のカテゴリーをどの程度購入しているかを見てみたいと思います。

冷凍食品の購買経験者と全体で年間の購買回数と金額を比較します。

年平均購買回数

年平均購買金額

年間の購買回数も購買金額も冷凍食品購入経験者は全体の平均に比べて高く、金額では倍近くなります。冷凍食品を購入するお客様は、購買頻度が多く買い上げ金額も高い優良なお客様であるということが言えそうです。

次にカテゴリー別に購入経験率と購買金額を比較します。

カテゴリー別の購買経験率や購買金額を見ても冷凍食品が含まれる「加工食品」はもちろんですが、他の食品カテゴリーも高く、食品以外でも95.6%が日用品、84.8%が化粧品の購買経験があり他のカテゴリーにおいても全体平均より多く購入しているため、来店者をクロスセルに導くことができていると考えることができます。

 ドラッグストアと食品スーパーの購買行動比較、第1回目は「冷凍食品」をテーマとして取り上げました。
 本コラム、およびドラッグチェーンにおける食品購買行動のデータ分析やrsSMデータと掛け合わせた分析レポートに対するお問合せは、ショッパーインサイト社コンサルタントまでお願いいたします。
 もしくは以下お問合せフォームからお願いいたします。

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