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Column コラム

2023.12.06

ドラックストアと食品スーパーの購買行動比較<熱中症編>

 食品領域におけるドラッグストアの取扱いは年々増加しています。ショッパーインサイト社ではドラッグストアと食品スーパーの購買行動比較をSegment of One & Only株式会社様(SOO)の協力を得て、SOOパネルデータ*の提供を受けてコラムを展開してまいります。
 第2回目の今回は「熱中症関連商品」をテーマとして取り上げました。

 今後、メーカー様に対してSOO様と協働で、ドラッグチェーンにおける食品購買行動のデータ分析やrsSMデータと掛け合わせた分析レポートをご提供していく予定です。

*SOOパネルデータ
地域密着型ドラッグストア、全国29企業のID-POSを統合。1,400店舗・80億件以上の国内最大級のビックデータ。

ドラッグストアと食品スーパーの購買行動比較【熱中症関連商品編】

今回のレポートでは、前回に続き食品流通においても存在感を高めているドラッグストアを対象として、食品スーパーとの比較で購買行動の違いを分析してみます。
今回の分析対象は近年注目度の高まっている「熱中症」に関連する商品として「キャンディ・タブレット」及び「飲料」とし、集計期間は2022年3月~2023年2月までの1年間といたします。食品スーパーの販売状況に関してはrealshopper SM全国会員のみ、ドラッグストアの販売状況に関してはSegment of One & Only株式会社が管理運営している、SOO加盟ドラッグストアから収集したID-POSデータをJICFS分類で統合したSOOパネルデータを利用しております。

熱中症関連「キャンディ・タブレット」購買状況比較

まずは、食品領域における熱中症関連商品として代表的な「キャンディ・タブレット」カテゴリーを見てみます。熱中症関連商品としては「キャンディ・タブレット」カテゴリーの商品の内、商品名に「塩」が含まれる商品を熱中症関連商品と定義いたしました。以後この商品群を「キャンディ“塩”」と表記いたします。

最初に、食品スーパーとドラッグストアの顧客の内、一年間で「キャンディ“塩”」の購入経験がある顧客の比率(購入者構成比)と、購入者の年間購買指標を両業態で比較してみます。

「キャンディ“塩”」の購入経験者は、食品スーパーが5.5%、ドラッグストアが5.7%と僅かにドラッグストアの方が高くなっています。但し購入者一人当たりで見ると購入金額は食品スーパーの方が高く、購入点数、購入回数共に食品スーパーの方が多くなっています。
平均単価はわずかにドラッグストアが高くなっています。
「キャンディ“塩”」非購入者を含めた全会員をベースにした一人当たり金額で見ると僅かに食品スーパーが上回っています。
両業態で極端な差はありませんが、ドラッグストアの方が若干広く・薄く買われているようです。

次に男女別の「キャンディ“塩”」購入金額構成比を両業態で比較してみます。

「キャンディ“塩”」購入金額を男女比で見ると、食品スーパーでは男性2割、女性8割と差がありますが、ドラッグストアでは男性比率がやや高くなり24%となっています。

次に性年齢別で見てみます。

性年齢別購入金額構成比

両業態共に、また男女ともに70代までは年齢層が高いほど購入金額に占める割合が高くなっています。男性は50代以下、女性は40代以下の比較的若い層はドラッグストアにおける構成比が高くそれより上の層では食品スーパーの方が比率が高くなります。

次に、購入の季節性を比較するために、「キャンディ“塩”」各月の購入金額を年間の平均月間購入金額で割った数字を見てみます。

月次購入金額と平均月間購買金額の比

やはり夏場に販売が大きく伸びる商品のようで、ピークの7月には平均の倍以上の販売金額になります。ピークの7月前後の6月と8月を比べると6月の方が高くなっており気温よりも販売が先行するように見えます。両業態を比較するとドラッグストアの方が若干ピークの山が高くなっています。

熱中症関連「飲料」購買状況比較

次に、飲料カテゴリーの熱中症関連商品を見てみます。熱中症関連商品としては「スポーツドリンク」「スポーツ飲料」カテゴリーの全商品に熱中症関連商品として代表的な飲料数銘柄を加えて分析対象としております。以後これらの商品を「熱中症関連飲料」と表記いたします。

顧客の内一年間で「熱中症関連飲料」の購入経験がある顧客の比率(購入者構成比)と、購入者の年間購買指標を食品スーパーとドラッグストアで比較してみます。

「熱中症関連飲料」の購入経験者は、食品スーパーが19.7%、ドラッグストアが26.6%となりドラッグストアの方が多くなっています。また、購入者一人当たりで見ても購入金額、購入点数共にドラッグストアの方が高くなっています。但し、購入回数は食品スーパーの方が多くドラッグストアの方がまとめ買い傾向が高いようです。また平均単価が食品スーパーで111円、ドラッグストアが149円とかなりの差がありますが、これは単価が低めな500ml前後の商品と、単価が高めになる1.5L、2L商品の比率が原因と考えられ、ドラッグストアの方が大容量商品の構成比が高く容量面でもまとめ買い傾向が高いと見ることができます。
「熱中症関連飲料」非購入者を含めた全会員をベースにした一人当たり金額で見ると食品スーパー136.8円、ドラッグストア279.6円と倍以上ドラッグストアが高くなっており、両業態を比較すると「熱中症関連飲料」はドラッグストアの方でより売れ筋商品であると言えるでしょう

次に男女別の「熱中症関連飲料」購入金額構成比を両業態で比較してみます。

「熱中症関連飲料」購入金額を男女比で見ると、「キャンディ“塩”」と同様にドラッグストアの方で男性比率が高い傾向がありますが、「キャンディ“塩”」と比べると、どちらの業態でも男性比率が高くなっています。

次に性年齢別で見てみます。

性年齢別購入金額構成比

両業態共に、40代がピークとなっており、高年齢層がピークとなっていた「キャンディ“塩”」に比べると若い購入者の比率が高いようです。40代以下ではドラッグストアにおいて構成比が高く、60代以上では食品スーパーで比率が高くなっており、これは業態別の来店者全体の傾向と一致しています。

最後に、「熱中症関連飲料」も各月の購入金額を年間の平均月間購入金額で割った数字を見てみます。

月次購入金額と平均月間購買金額の比

「キャンディ“塩”」と同様に夏場に販売が大きく伸びる商品で、ピークは7月になりますが、ピークの7月前後の6月と8月を比べると8月の方が高くなっており6月の方が売れる「キャンディ“塩”」とは傾向が異なります。また食品スーパーでよりピークが高いことも「キャンディ“塩”」とは異なる傾向です。

 ドラッグストアと食品スーパーの購買行動比較、今回の第2回目は「熱中症関連商品」をテーマとして取り上げました。
 本コラム、およびドラッグチェーンにおける食品購買行動のデータ分析やrsSMデータと掛け合わせた分析レポートに対するお問合せは、ショッパーインサイト社コンサルタントまでお願いいたします。
 もしくは以下お問合せフォームからお願いいたします。

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