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Column コラム

2024.01.09

ドラックストアと食品スーパーの購買行動比較<減塩編>

 食品領域におけるドラッグストアの取扱いは年々増加しています。ショッパーインサイト社ではドラッグストアと食品スーパーの購買行動比較をSegment of One & Only株式会社様(SOO)* の協力を得て、SOOパネルデータの提供を受けてコラムを展開してまいります。
 第3回目の今回は「減塩商品」をテーマとして取り上げました。

 今後、メーカー様に対してSOO様と協働で、ドラッグチェーンにおける食品購買行動のデータ分析やrsSMデータと掛け合わせた分析レポートをご提供していく予定です。

*SOOパネルデータ
地域密着型ドラッグストア、全国29企業のID-POSを統合。1,400店舗・80億件以上の国内最大級のビックデータ。

ドラッグストアと食品スーパーの購買行動比較【減塩商品編】

今回のレポートは食品流通においても存在感を高めているドラッグストアを対象として、食品スーパーとの比較で購買行動の違いを分析するシリーズの3回目になります。
今回の分析対象は近年伸長している「減塩」商品を対象とし、集計期間は2022年3月~2023年2月までの1年間といたします。食品スーパーの販売状況に関してはrealshopperSM全国会員のみ、ドラッグストアの販売状況に関してはSegment of One & Only株式会社が管理運営している、SOO加盟ドラッグストアから収集したID-POSデータをJICFS分類で統合したSOOパネルデータを利用しております。なおカテゴリー分けは食品スーパーに関してはiCODEを、ドラッグストアに関してはJICFS分類を使用いたします。

「減塩商品」カテゴリー構成比比較

まずは、「減塩商品」の主要カテゴリーを紹介しながら、食品スーパーとドラッグストアでカテゴリー別構成比を比較してみます。今回の分析対象である「減塩商品」の抽出は、食品、飲料カテゴリーの中で商品名に「減塩」の文字が含まれる商品を「減塩商品」として分析対象としております。

この「減塩商品」主要カテゴリー別購買金額構成比を食品スーパーとドラッグストアで比較します。

「減塩商品」は食品スーパーにおいて合計526種の商品がありましたが、その中で最も金額構成比が高いカテゴリーが「基礎調味料(iCODE)/調味料(JICFS)」です。このカテゴリーは減塩商品を代表するカテゴリーとして醤油、味噌、つゆなどが含まれ商品数も多いカテゴリーであり、食品スーパーにおいて「減塩商品」の4割以上、ドラッグストアで4割弱を占めます。基礎調味料に強い食品スーパーの方が、減塩商品においても基礎調味料の販売金額比率が高いようです。
次に構成比が高いのが「即席汁物(iCODE)/スープ(JICFS)」です。具体的には「減塩商品」の大部分がインスタント味噌汁ですがこちらも多くの商品があります。このカテゴリーは両業態共に四分の一前後の構成比となり両業態であまり差はありません。
次に多いのが「漬物+佃煮(iCODE)/漬物・佃煮(JICFS)」です。このカテゴリーでの「減塩商品」には昆布佃煮、梅干、白菜漬けなどがあります。食品スーパーで12.5%、ドラッグストアで10.5%の構成比となっています。
それに次ぐのが「菓子」です。このカテゴリーでは「減塩商品」のほとんどが米菓でドラッグストアにおいて食品スーパーの倍以上構成比が高くなっています。
この4カテゴリーを主要カテゴリーといたしましたが、主要カテゴリー以外にも食パン、チーズ、缶詰、明太子など様々なカテゴリーに減塩商品は存在しており、当レポートでは上記の4カテゴリーに含まれないこれらを「その他」としています。

ちなみに「基礎調味料(iCODE)/調味料(JICFS)」カテゴリーにおいて「減塩商品」が販売金額ベースで占める割合は以下のようになり食品スーパーの方が高くなっています。

基礎調味料(iCODE)/調味料(JICFS)の「減塩商品」購入金額比率

「減塩商品」販売状況比較

「減塩商品」の購入経験者は、食品スーパーが18.0%、ドラッグストアが12.2%と食品スーパーの方が高くなっています。購入経験者一人当たりで見ても金額、点数共に食品スーパーが高くなっており、平均単価で見ても食品スーパーが高いです。
このため、「減塩商品」非購入者を含めた全会員一人当たり金額で見ると食品スーパーが139.3円、ドラッグストアが72.1円となり、食品スーパーがドラッグストアを倍近く上回っています。
これらの数字から「減塩商品」全体で見ると、ドラッグストアよりも食品スーパーでより売れる商材群であると言えるでしょう。減塩商品に多い基礎調味料カテゴリーや漬物・佃煮カテゴリーに全体において食品スーパーが強いことも影響していると考えられます。

「減塩商品」性年齢別購入者構成比

次に「減塩商品」購入者と、全会員の性年齢別構成比を業態ごとに比較し、「減塩商品」を好む顧客を性年齢別に見ていきます。

まずは食品スーパーの全会員と「減塩商品」購入者の性年齢別構成比を比較してみます。

食品スーパー性年齢別購入者構成比

「減塩商品」購入者は男性の70代、80代、女性の60~80代において全会員に比べ構成比が高くなっており、シニア層に支持される商品群であることが分かります。

次にドラッグストアの全会員と「減塩商品」購入者の性年齢別構成比を比較してみます。

ドラッグストア性年齢別購入者構成比

ドラッグストアにおいても食品スーパー同様に「減塩商品」購入者は全会員に比べ高齢者の構成比が高い傾向はあるのですが、ドラッグストアでは女性40代、50代においても「減塩商品」購入者が高くなっているという違いがあります。これには減塩商品の中でも「菓子」の比率が食品スーパーより高いことが影響している可能性があります。

「減塩商品」性年齢別購入金額構成比の業態比較

最後に購入金額ベースで性年齢構成比の比較を両業態で行ってみます。

まず、性別で比較すると。業態ごとの元々の顧客層を反映してか、食品スーパーよりもドラッグストアの方が男性の比率が高くなります。

次に性年齢別で見ると次のようになります。

性年齢別金額構成比

もともとのシニア顧客が多い食品スーパーにおいて「減塩商品」は更に高齢者に支持されていることと、食品スーパーほど高齢者が多くないドラッグストアで「減塩商品」が40,50代女性にも買われていることから、食品スーパーでシニアが多く、ドラッグストアでは若年~ミドル層が多いという元々の顧客層の特徴が「減塩商品」ではより明確になるという結果になりました。

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